東京地方裁判所 昭和52年(ワ)9606号 判決
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【判旨】
二<証拠>によれば、原・被告の合意により、昭和四八年四月一日以降の本件土地の賃料が月額四二〇〇円(3.3平方メートル当り140円)に改訂されたこと(この事実は、当事者間に争いがない。)を前提とし、原告が賃料増額の意思表示をした日である同五二年一二月二七日当時の本件土地の賃料の相当額を、いわゆるスライド方式によつて算出すると、その額は一か月3.3平方メートル当り220円となることが認められるから、したがつて、他に特段の事情が認められない本件においては、右金額をもつて、昭和五二年一二月二七日当時における本件土地の賃料の相当額であるとすべきである。よつて、昭和五三年一月一日以降の本件土地賃料は計算上月額六六〇〇円となる。
三原告は、本件土地賃貸借契約が、昭和四九年一二月一日法定更新された際、更新料の授受がなかつたから、このような場合、適正賃料額の算定に当つては、更新料を支払つた賃借人との関係で不公平が生ずることのないように更新料の授受がなかつた事実を考慮に入れて、賃料額の決定がされるべきである旨主張する。
たしかに、土地賃貸借契約の更新に際し、更新料の授受がみられることは当裁判所に顕著な事実であるけれども、本件の全証拠によつても、法定更新の際に、賃借人が賃貸人に対し、更新料を支払うという事実たる慣習が存在することを認めることはできない。
そうすると、賃貸人は、賃借人に対して当然に右更新料を請求できる権利を有するものではない以上、いわゆるスライド方式を用いて右賃料の相当額を算定する場合には、更新料を支払つた賃借人との関係で不公平を生ずるかどうかのしんしやくを要しないから、右更新料の授受がなかつた事実を、適正賃料額決定について考慮に入れるべき筋合はないと解すべきである。
(もつとも、これとは異なり、更新料が授受された場合には、具体的諸事情に応じ、適正賃料額の決定について、右授受のあつたことが考慮されることは十分にあり得る。)
したがつて、原告の前記主張は採用できない。
(菅原晴郎)